アクア用語集

【リン酸塩】有機物に含まれるリンが原因となり発生する、栄養塩の一種

「リン酸塩(PO4)」とは?

生物に必要不可欠な栄養素。しかし過剰な蓄積はコケ(藻類)の発生・水質悪化・無脊椎動物への悪影響をもたらす

「リン酸塩(PO4)」とは、リン酸(一般的にはオルトリン酸:H3PO4)に様々な塩基が結合して生じる無機塩類の総称です。アクアリウムにおいては「リン」「リン酸」「リン酸イオン」「リン酸態リン」等と呼ばれることもあり、植物の栄養源となる栄養塩の一種として、硝酸塩やケイ酸塩等と同様に広く一般的に知られています。
水槽内では主に、生物の死骸・餌・排泄物等といった有機物に含まれるリンが分解され発生する他、水道水中にも微量ながら含まれています。なお、PO4を基としているリン酸やリン酸塩等のリン化合物の化学式は、一様に「PO4」と表記される場合があります。

リン酸は水中において主に(オルト)リン酸イオン(PO43-)として存在しており、この形態で存在するリンのことを「(オルト)リン酸態リン」といいます。リン酸イオンはphによりHPO42-・H2PO4・H3PO4等の形にもなり、これらと他の塩基が結合することで様々な塩が生じます。
リン酸イオンは植物にとって最も利用されやすい形態のリンであることから、富栄養化原因物質であるとされています。なお、金属イオン等と結合して生じた不溶性の塩は植物に吸収されることなく水底に沈降していきますが、嫌気環境下では再び溶解しリン酸イオンを溶出します。

リン酸塩は生態系が構築されるうえで重要な、言わば「食物連鎖の基盤」となる物質です。またリンはあらゆる生物が必要とする必須元素の1つでもあります。しかし狭い水槽内における過剰な蓄積は、水質悪化やコケ(藻類)の発生及び成長の促進、また多くの無脊椎動物魚に対し様々な悪影響を及ぼしてしまいます。そのため、水槽内のリン酸塩濃度は常に低く保つようにしましょう。
なお、栄養塩は基本的に生物ろ過により分解されることはありません。そのため水槽内から除去するためには、「水換え」「脱窒菌による脱窒」「植物による消費」「吸着剤の使用」等の処置を行う必要があります。