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クラゲの面白い構造や不思議な生態、その魅力について語りたい(Part.4)

クラゲ 毒 刺胞 触手

どうもみなさん、カシオです。前回はクラゲの呼吸方法について語らせて頂きましたね!酸欠にはくれぐれもご用心下さい、と。今回は彼らの特徴でもある毒とそのメカニズム、さらには刺された場合の対処法についてお話していきたいと思います。夏場、海水浴場などでよく問題視されるクラゲによる被害…「クラゲ=刺してくる危ない生物」と認識されている方も多いのではないでしょうか?もしかすると、今回のお話で彼らに対する印象が少し変わるかもしれません…気になりますよね?是非最後までお付き合い下さい。

クラゲ 毒 刺胞 触手

クラゲの体にまつわる面白い話④

刺すクラゲと刺さないクラゲがいるって本当?毒の無い有櫛動物のクラゲとは

さて、クラゲは絶対に刺すのか?刺す…種類がほとんどです!ここであえて「ほとんど」と言っているのはそう、刺さないクラゲもいるということ。しかし、「クラゲ」という名前がついている生物は基本的に刺すと考えて頂いてよいでしょう。では具体的にどのようなクラゲが刺さないのか…それは一般的に、「有櫛動物(ゆうしつどうぶつ)」と呼ばれる生物になります。

有櫛動物 クラゲ チョウクラゲ毒を持たない有櫛動物のクラゲ

「有櫛動物」の有名種としては、ウリクラゲカブトクラゲチョウクラゲなどが挙げられます。水族館でもよく目にする、体の縁がキラキラと光っているように見えるあのクラゲたちのことです。彼らは厳密に言えば、毒をもつクラゲとは少し違う仲間になります。毒をもつクラゲは「刺胞動物(しほうどうぶつ)」の仲間であり、毒を持たない有櫛動物とは違うのです。

この刺胞動物に属するクラゲと有櫛動物に属するクラゲの一番の違いは、毒を持っているかどうかということになります。刺胞動物のクラゲは「刺胞」と呼ばれる毒針の入った袋のようなものを持っています。しかし有櫛動物はそれを持たず、代わりに「櫛板」とよばれる器官を携えています。この櫛板には小さな毛のようなものが無数に生えており、それを使って水中を動き回るわけです。ちなみに、彼らは一見光っているように見えますが…これは櫛板についた無数の毛が光を反射しているだけです。決して自ら光り輝いているわけではありません。その他、有櫛動物のクラゲは刺胞動物のクラゲと違い雌雄同体であったり、ポリプ世代が存在しなかったりと、毒の有無以外にも様々な違いがありますが…それはまた機会があればお話しますね。

 

 

クラゲは何も人を刺したくて刺しているわけじゃない!?

刺胞動物に属するクラゲは、「刺胞」と呼ばれる毒針の入った袋を持っているとお話しました。では一体彼らは、どのタイミングで刺胞から毒針を発射させるんでしょうか?実を言うと、彼らは反射的に刺しているだけなのです。

 

例えば人の場合、熱いものに触れた瞬間手を引っ込めますよね?これは脳が「熱い!」と感じる前にとってしまう行動です。そう、反射神経によるものです。これと同じ動きを刺胞は行っているのです。刺胞の先端、ちょうどフタになっている部分には、出っ張り…言わば触覚センサーがついています。これに何かが触れた際、刺胞は反射的に開き、内部の毒針を発射しているのです。反射的に刺してしまう…なんとも可愛らしい響きですが、勘弁して頂きたいですね。

 

 

クラゲの毒はどんな毒?その強さは?

クラゲの毒の強さはその種類によって大きく異なります。刺されても全く何も感じないものヒリヒリと痛痒いもの生命に関わる程強力なもの…実に様々です。我々日本人にとって最も馴染み深いクラゲとも言われているあのミズクラゲでさえ、毒を有しています。人にとっては何ら問題のない強さの毒であったとしても、魚などの水棲生物にとっては猛毒です。「クラゲは他の生物との混泳が不可能(他種のクラゲも含む)」と言われる理由がこれなんですね。さてそんなクラゲの毒ですが、これらは全て「タンパク質」で構成された毒になります。単にタンパク毒と呼ばれることもあります。しかし実は、このクラゲの毒に関しては未だ謎が多く、詳しいことはまだわかっていません。このタンパク毒のどのような成分が痛みを引き起こすのか…誰も知りません。神秘的ですね。
なお、毒の強さはクラゲがもつ毒針の長さでも大きくかわります。いくら毒が強くても、毒針が短ければ相手に深く刺すことはできません。実を言うとミズクラゲがそのいい例なのです。彼らは意外にも結構強い毒を持っているのですが、毒針が短いため人にとってはそこまで脅威にならないわけです。

クラゲ 癒し リラックス 

クラゲの毒による被害の中で特によく耳にするのは「アナフィラキシーショック」という言葉ではないでしょうか?みなさんも一度は聞いたことがあるかと思います。アナフィラキシーショックとは、言わばアレルギー反応のことです。人が何度もクラゲに刺されると、体内でその毒に対する抗体が次々作られていきます。そしてその状態で再び刺されると…沢山作られた抗体が毒に対して過敏に反応してしうのです。この異常なアレルギー反応は人の命に直結します。アナフィラキシーショックとは何もクラゲに限っておこるものというわけではなく、蜂に刺された時などにも同様におこる場合があります。

 

 

クラゲに刺された!どうすればいい!?

それでは最後に、クラゲに刺された場合の応急処置についてお話したいと思います。応急処置の方法については古くから様々な意見が飛び交っていますね。「砂で擦る」「水道水で洗う」「お酢をかける」などなど。しかしこれらには間違った情報も多く、場合によっては症状が悪化する恐れもあります。正しい知識を身に付け、適切な処置を行いましょう。

クラゲ 毒 応急処置 対処 方法正しい知識を身に付け、適した対処を

クラゲに刺された場合、皮膚にまだ刺胞(または刺胞付きの触手)が残っている場合があります。この時、摩擦などによる刺激や浸透圧による刺激(水道水で洗う等)を加えてしまうと、開いていない刺胞が開いてしまう恐れもあります。清潔な水道水で洗うことは傷口の細菌を洗い流すという役目もあるため有効的ですが、その際は患部付近に触手が付いていないことを十分確認しておく必要があるでしょう。万が一触手が付いている場合には、海水で洗い流して下さい。その後、毒の巡りを遅くさせるために患部を冷やしながら病院に向かいましょう。くれぐれも「我慢して病院に行かない」…ということだけは避けて下さいね。ちなみに、有名な応急処置方法の一つに「お酢をかける」のいうものがありますが…残念ながらこの方法は全てのクラゲに対して有効的だとはされていません。沖縄などに分布しているハブクラゲなどには効果が確認されていますが、何のクラゲに刺されたかわからないうちは、むやみやたらに試さないようにしましょう。

 

さて今回は以上になります。クラゲの毒は恐ろしいですが、個人的にはこれも彼らの魅力の一つだと思います。次回は、彼らの味覚・嗅覚・聴覚についてお話していきたいと思います。果たしてクラゲにそれらの感覚はあるのか…?それでは!カシオでした。